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取材日記

2023.03.27

冬支度をしなくても済むZEHは新潟での暮らしを変える!?

施主様
新潟市在住Aさん
施工業者
わいけい住宅

● DATA

場所 ZEH種類 外皮性能
UA値
一次エネルギー消費量削減率 気密性能
C値
太陽光発電設備
省エネのみ 再エネ等含む
新潟市(地域区分5) 『ZEH』 0.29 31% 101% 0.3 6.8kW

外国住まいで新潟の暮らしを見直す

新築のきっかけは何でしょう?

Aさん: 私は仕事で12年ほどカナダに住んでいて、2020年に新潟の生家に戻ってきました。その時、カナダと日本の住宅における機能の違いを痛感したんです。カナダは冬の気温は北海道より寒いくらいですが、どの家も全館空調が施されて暖かい。一方、新潟の旧宅は築80年、農家らしい木造の家で、冬はとにかく寒いんです。この家で暮らすには年齢を重ねた母も大変だろうし、家族みんなの健康のためにも新しい家を建てよう、と。

新築にあたり、まず初めに何をされましたか?

Aさん: 家の仕様を高くして暖かい家にする、ということで、インターネットサイトや動画で「これが良い」と言われることを色々調べました。その中でZEHを知り、条件として求められる外皮平均熱貫流率(UA値=外皮の断熱性能の基準)や、住宅における相当隙間面積(C値)なども参考にして、自分の家のスペックを決めました。

施工を担当したわいけい住宅は、令和4年・新潟県版雪国型ZEHモニター実証事業を活用して、モニターハウスを建設しています。

Aさん: そもそもわいけい住宅さんには、旧宅のリフォームをお願いしていたんです。15年くらい前からのお付き合いで、信用もありました。ただ、住宅は高い買い物ですからね。工務店は他に6社ほど見て回り、モデルハウスを何棟も訪ねてようやく、わいけい住宅に依頼することにしました。

中山さん: 弊社はもともと自然素材を活かした健康住宅にこだわる工務店で、一昨年前から国や県の政策に合わせZEHを取り入れています。AさんにはZEHへの強いご要望があり、最終的な間取りもAさんが考えた通りに施工しました。とにかくAさんは知識が豊富で、うちで初めて扱う特殊な断熱材を使ったりと、色々と勉強させていただきました(笑)。

Aさん: デザインよりも機能重視で、1年がかりで考えた仕様や間取りでしたから。本当に、私の意見を通させてもらって感謝しています(笑)。計画段階から強く意識したZEHが現実となり、まさに家を建てる醍醐味を味わせてもらった約2年。毎日、建築現場にも張り付いて、ぼく、まるで現場監督みたいでしたね(笑)。

わいけい住宅の中山社長

全国より厳しい基準の新潟県版雪国型ZEHとは

高気密・高断熱に加え、太陽光発電の家。初期費用はかなりかかりましたか?

Aさん: かかりましたね。でも、納得のいくレベルにしたかったので、その点は後悔していません。国が推奨していますので、百数十万円の国の補助金を使えました。

屋根に設置された太陽光パネル

新潟県版雪国型ZEHとは、どのようなものですか?

中山さん: 国基準のZEHとなると北海道から沖縄まで共通して実現可能な内容なので、基準が若干ゆるいんです。そこで新潟県では雪国に特化したZEHにしようと、天井、壁、床に対し、どんな断熱材を使ってどんな厚みにしたかという「外皮性能を上げる基準」がより厳しく設けられました。また、もう一つ重要なのが気密性能。雪国型ZEHでは「住宅における相当隙間面積(C値)を1.0にする」という数値が提示されました。これは閉め切った40坪の部屋に対し、隙間をはがき0.6枚程度に抑えなさいというものです。

それは施工が大変なのですか?

中山さん: 確かに厳しい基準ですが、実は、わいけい住宅の標準仕様は0.5なんです。それに契約の段階で、Aさんからは「C値は0.5以下」にすることを提示されており、施工の結果、A邸は実測で0.3。気密性は雪国型ZEHの基準を大幅に上回っています。どうですか、Aさん、実際に住んでみて、気密性に対し実感することはありますか?

Aさん: 古い家は窓のそばに立つとすーっと空気の流れを感じましたが、新しい家はそれがない。気密性はしっかりしていると思います。

窓は、樹脂サッシ+トリプルガラスの断熱仕様。そばに立っても隙間風を感じない」

手間のない暮らしと驚きのコストパフォーマンス

実際、お住まいになっていかがでしょう?

Aさん: 何十年も寒い家に住んでいた母が、「暖かいね、暖かいね」と。うちはUA値がG2ランクで、この冬は24時間空調で全館がほぼ18度以上。風呂上りでもヒートショック(※1)の危険や心配が少ないので、高齢の親と同居している身には有難いです。以前の家は、夜、寝室に入ると吐く息が白く見えるくらいの寒さでしたから、それと比べれば本当に、天と地ほどの差があります。

気になる電気料金はいかがでしょう?

Aさん: うちは延床面積65坪の家で、6.8kWの太陽光発電システムを導入しています。24時間フル稼働でエアコンを2台使っていましたが、2023年1月~2月までの1か月の電気代は、2万円を切りました。冬場でも昼間の発電量で昼の電気使用料をまかなっているし、売電もしているので、確実に家計の助けになっています。

中山さん: エアコンを使わない中間期になれば売電する一方ですので、1年にならすと電気量は月1万円ほどお得になる計算です。先ほど初期費用のお話が出ましたが、Aさんの場合は冷暖房費の削減などにより、築11年程度で初期費用を回収できるのではないかと思います。ZEHとは、エネルギーロスをさせないための外皮性能、断熱性能、気密性能、そして太陽光発電の合わせ技。新潟の場合、冬場は日照時間が少ないのですが、実は年間を通した日照時間は関東と比べても8%程度しか下回っていないんです。太陽光発電は十分、採算ベースに乗ってくる設備ですし、厳しい基準の雪国型ZEHが普通に導入されるようになれば、環境にやさしく、皆さんの暮らしも快適になると思います。

Aさん: うちはオール電化ですが、朝から晴天だと電気代が得した気分です(笑)。暖かい家を建てようとは思っていましたが、ここまでの恩恵があるとは思っていなかったので驚きでした。それに、新潟の人なら文字通り「冬支度」をするでしょう? 暖房器具を用意したり、灯油を買いに行ったり。でも新しい家になってから、暖房にまつわる準備が全くいらない。その分の時間がフリーになったというのも、ZEHの大きなメリットだと思いますね。

(※1)急激な温度変化により血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こること。

冬の間も湿度が保たれ、快適な暮らし

Aさんは高断熱住宅についてネットや雑誌で情報収集

電気自動車(EV)の給電コンセントも設置