電気使用量で家を決める時代かかるコストは明確に
新潟市北区にある、まごころ本舗が手がけた建売住宅。広いリビングが開放的ですね。
平田さん: 43㎡(23畳)の吹き抜けですが、1階部分に設置したエアコン1台で、LDKと2つの居室が十分に暖まります。
リビングには、庭に出られる全開口の折りたたみ窓があり、印象的な造りです。
平田さん: 意外に思われるかもしれませんが、これだけの大きな窓を採用しても、十分な断熱・気密性が保たれているんです。先ほどの、1階に設置したエアコンを24時間稼働することで、真冬でも室温23度をキープできます。
まごころ本舗はそもそも、建物の買取再販がメーンとのこと。(一社)リノベーション協議会主催の「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」では何度も受賞しています。
平田さん: 古い物件を取得し、高性能リフォームを施して販売するのが主な業務で、お陰様で実績も認めていただいています。今回のZEHを取り入れた建売物件は、当社では初めてのケースとなります。
新潟県版雪国型ZEHを手掛けることにした理由は何でしょう?
平田さん: 昨今の電気量の値上げですね。月額の電気料が2倍、3倍になった等のお声も聞こえてきて、皆さん苦しい状況にあるかと思います。今や住宅を取得する上で、電気代を考慮するのは必須。その点、ZEHでは建物の断熱性能や太陽光パネルの発電量などが算出でき、「この家の電気代や設備の維持費はこれくらい。リフォームも何年程度で必要です」と、お客様にきちんと明示することができます。
住宅という買い物に対して、信憑性が高まる。
平田さん: 新潟県版雪国型ZEHという独自基準を設けることに、当社も大いに賛同していますし、私たちも雪国でいかに快適に過ごせるか、施工主としても挑戦していきたいと思っています。
特別で高価な設備を使わず雪国に対応するZEHを実現
新潟県版雪国型ZEHに対応した成果を教えてください。
平田さん: 断熱性能としてはUA値(外皮平均熱貫流率)が0.48以下、気密性能はC値(相当隙間面積)が1.0以下。太陽光パネルの発電量は7.4kWと大きく、日中の電気が賄えるのはもちろん、蓄電池に溜めた電気を夜間電力として使えます。1年間の電気使用量を発電量が上回る計算で、蓄電池を増設すれば各家庭の生活スタイルに合った創電も可能です。
工夫次第で電気代がゼロに。
平田さん: もう一つ、この建売物件はZEH仕様ですが、特別な機械や設備は用いていないんです。メンテナンスが容易な一般的な設備ですので、数年後に部品がなくて修理ができないとか、大掛かりな改修が必要ということもありません。
機能性の高い新築としては、コストが安く抑えられているんですね。
平田さん: また、私は自宅に太陽光発電を導入しているんですが、何が一番良かったかというとHEMS(ヘムス)(※1)による電気使用状況の“見える化”です。それまでは何に電気代がかかっているのかわかりませんでしたが、エアコンよりテレビのほうが倍くらい電気を使うと知った時は、本当に驚きでした。事実を目の当たりにして節約意識を高めるのも、高性能住宅に住むメリットといえます。
家の機能に合わせて、家族も賢く暮らしていく、と。
平田さん: この家に住む上でのエネルギーは、家の性能+太陽光で自給自足できます。それに加え、広い敷地を利用して「食の自給自足もできる家」として、この建売物件をお勧めしています。生ごみを肥料にできるコンポストや雨水を溜める集水器を活用し、家庭菜園などに取り組んでいただけたら。まさに持続可能な暮らしの実現ですね。
(※1)HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の略。エネルギーを“見える化”するほか、家電や電気設備を最適に制御するための管理システム