高性能住宅で雪国の暮らしをリード
「雪国型ZEH」が始まる前から、基準を満たした家づくりをしてきたそうですね?
ヤマダコーポレーション 会長 山田孝一さん(以下同):さかのぼれば25年前、「耐震」と「断熱」を掲げて創業しました。その後、気密性能を確保する工法を取り入れ、さらに太陽光発電も合わせて提案。現在では建築する家の7,8割に採用してもらっています。「雪国型ZEH」の基準でもある断熱性能G1は、既に4年前から当社の標準になっていて、昨年からはさらに上位のG2を標準に。常に一歩進んだ性能を提供しています。

いち早く、高性能住宅に取り組んだのはなぜですか?
山田さん:妙高・上越という雪深いエリアに拠点を置く住宅会社として、住宅性能をリードしたいという気持ちがありました。私自身、父をヒートショックで亡くしています。温度ムラのない家を父のために建てようと着工した矢先のことでした。また、知り合いにもヒートショックによる健康障害を被った方々がいて、雪国における性能の重要性を痛感したのがきっかけです。性能を高めるとコストもかかりますが、健康や命には替えられないと思っています。

断熱性能だけでなく、換気や気密性能にも積極的に取り組んできたんですね。
山田さん:温度ムラのない家は、外との温度差、湿度差でカビやダニが発生しやすい。そこで、断熱性能を高めると同時に、換気を組み合わせる家を提案してきました。また、断熱性能は高い気密性があってこそ発揮されるもの。隙間のない家であれば、断熱の力をさらに引き出して電気代を抑えられる。例えば、当社がよく採用しているクリーンな「蓄熱型暖房機」も高い気密やオール電化が前提です。深夜電力を使うことでリーズナブルになるし空気も汚さない。一方、もし気密断熱の高い家の中でガスを使うと考えると、安全性に不安が残ります。オール電化、クリーンで省エネな暖房器具、気密断熱。それぞれのポテンシャルを引き出し伸ばしていくのが当社の家づくりです。

県内で雪国型ZEHや太陽光発電を採用するメリットをどう考えていますか?
山田さん:まず、光熱費の抑制です。当社が高性能に取り組む際には「35坪から40坪のオール電化の家で電気代を1万2000円から1万3000円に抑える」という目標値を掲げ、実現させました。上越エリアでは一般に温水器にもガスを使い、各部屋に灯油ファンヒーターを置くなどするため、冬の間の光熱費は合計5、6万円にものぼる。それが3分の1、4分の1に抑えられるとなれば、メリットは非常に大きいですよね。

創電と蓄電池で「わが家」を避難所に
太陽光パネルの導入についても同じことが言えそうですね?
山田さん:太陽光発電設備は「メリットしかない」と思っています。日々のランニングコストが抑えられるということはすなわち、月々の支払いが少なくなるということ。家を建てる時はみなさん、ローンを組んで月々返却するわけですが、そこに光熱費が乗っかることを考えておられない方が多い。月の支払いがプラス数万円になるか、太陽光発電を乗せることで数千円に抑えられるか、違いは大きい。太陽光パネルを載せることは、生活設計においても優位に立てることになります。

実際に採用したお客さんからはどんな声が届いていますか?
山田さん:「ペットを飼っているから、昼間、不在の間もエアコンをつけておきたい」という方がいらっしゃいました。日中であれば、発電した電気でまかなえる。無駄なく電気を使うことができ、つけっぱなしの罪悪感もない。その方は、4人暮らしで電気代が年間3万円だとおっしゃっていました。
雪国の太陽光発電についてはメリットが少ないのではないか、という声もありますが。
山田さん:確かに、雪が降っている時はパネルの表面が覆われててしまうので発電は厳しい。ただ、落雪や融雪、除雪を踏まえて設計すれば十分に機能します。また、最近では耐雪型のパネルも出てきました。溶けたら発電を始めるので、屋根の形も選ばないし、落雪場所を考えなくて済む。緩い勾配の片流れ屋根も可能なので、設計の自由度も上がります。

このモデルハウスも緩い片流れの屋根ですね?
山田さん:緩い勾配を隠して、建物をボックス型にする方法もあります。つまり太陽光発電によるエネルギーの自給自足とスタイリッシュな外観を叶えられるということ。モデルハウスでは、選択肢を示したかった。そしてもう一つ、いざという時の対応も大きなポイントです。

地震などの災害時、ということですか?
山田さん:耐震等級は3、さらに制振装置を取り入れて災害に強い家にしたうえで、10kWhの蓄電池を設置しました。蓄電池というと、以前は4~5kWhあればという認識でしたが「停電時にいつもと変わらない生活ができる」と考えると倍は必要と考えました。10kWhあれば、もし災害が起こっても自分の家を避難場所にできますし、普段も、夜間は貯めた電気で生活し、残ったものは売電できる。過去10年の間太陽光発電に取り組み、蓄電池も取り入れてきて思うのは年々、その有効性は上がり、暮らしへのメリットも乗じているということ。「雪国型ZEH住宅」を一つの通過点として、未来の暮らしを考えていきたいと思っています。

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