高性能は設計の自由度を上げる
モデルハウスとしても公開しているご自宅。雪国型ZEHにも合致しているとか。
ネイティブディメンションズ一級建築士事務所代表 鈴木淳さん(以下同):30年前から高性能住宅に取り組んできました。独立する前に勤務していたハウスメーカーが高性能に取り組んでいたのがきっかけで、16年前に独立してからは新築する100%が高性能でG2※グレード前後。ラクに雪国型ZEHの基準をクリアしています。
高性能を志したのには師匠がいるんです。「住まいに愛着が続くかどうかは、家がカビないかどうか」だと。ちょっと遠い話に聞こえるかもしれませんが、いくらカッコよくてもカビが生えてしまっては、愛着など持ってもらえないし、健康にも良くない。カビさせないためには結露させないことが大事で、そのためには高性能が必要だと。
※HEAT20(一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)が提案する住宅外皮水準

高性能を勧めるにあたって、指標にしている数字があるそうですね。
鈴木さん:高性能の指標と言われるUA値、C値という表現は、プロ以外の方々には分かりにくい。そこで独自にシミュレーションを行い、平均光熱費が2万円以下の家、と掲げています。これは独立してからずっとです。

ネイティブディメンションズというと小さな家という印象です。
鈴木さん:小さな家ほどあらゆるコストが抑えられる。建築費も断熱性能を強化する建材費も工期も、そして当然ランニングコストもです。断熱性能を大きく上げなくても光熱費を下げられる。自宅は延床16坪で、空調効率を上げるために吹き抜けを採用しました。暖房は床下エアコン、冷房はロフトのエアコン。季節によってどちらかを稼働させています。

吹き抜けは部屋の面積に対して大きいですね。
鈴木さん:ワンフロアが9坪しかないので、吹き抜けはその4分の1を占めています。空調効率が上がるという機能面だけでなく、どこにいても視線が止まらないので広々と感じられる。意匠としてもいい。
そもそも性能に興味を持ったのは、好きなデザインが得られるからでした。耐震性能を含めて高性能をベースにすれば、大きな吹き抜けも自由に設けられるし、空調効率の味方にもなる。吹き抜けの大きさと空調効率、断熱性能のバランスが分かっていれば、吹き抜けもマイナスではなく利益になります。


温暖化の今、冬より「夏を旨とした設計」を
実際に住んでみてどうですか?
奥さま:これまでお客さんに対して「階段でも廊下でもどこでも居心地良くなりますよ」と言っているのを横で聞いていて、「本当にそうなるのかな」と思っていましたが、本当でした。家じゅう同じ温度が保たれる、というのもその通りで、どこにいても快適。娘が階段に座ってくつろいだり本を読んだりしている姿を見るとなおさら実感します。
鈴木さん:隅々まで快適な温熱環境ということはすべての場所が使える、生かされるということ。どこでもリビングになるということです。

太陽光発電も採用していますね。
鈴木さん:3.6kwのパネルを載せました。光熱費を抑えるには間違いないと思い、これまでも予算と立地さえ合えば、積極的に勧めてきました。とはいえ実際に使ってみなければ説得力がない。使って効果を確認し、実感も含めてちゃんと伝えたいと思って採用しました。

改めて、新潟における雪国型ZEHの必要性は?
鈴木さん:高気密高断熱は寒冷地で快適に過ごすためのものと思われていますが、夏に対応した設計でもあると改めて伝えたい。雪も多ければ夏も暑い新潟。例えば冬、氷点下になっても24~25度持ち上げればいいけれど、夏は屋根など60度近くになる。それを27度くらいに下げると考えると30度以上。暑さが毎年厳しくなっている昨今、夏こそ高性能、夏こそ雪国型ZEHではないでしょうか。設計においても夏の対応をもっと考えるべきで、新潟はそれが日本でもっとも必要なエリアだと思います。


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ネイティブディメンションズ一級建築士事務所
事務所:新潟市東区藤見町2-19-2
モデルハウス:新潟市東区小金台7-25
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