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レルヒさんの取材日記

目指すは「すべて佐渡産のお酒」。

インタビュー・尾畑酒造株式会社 代表取締役社長 平島健さん

尾畑酒造株式会社
佐渡島の旧真野町で1892(明治25)年創業。酒造りのモットーは「四宝和醸(しほうわじょう)」。酒造りの三大要素である「米」「水」「人」に生産地である「佐渡」を加え、四つの宝の和をもって醸しています。代表銘柄は「真野鶴」。

はるばる佐渡までやってきたレルヒさん


「今回ノ取材ハ佐渡カ。ドンナえこトノ出会イガ待ッテルンダロウ」
てくてくてく……。
「コンナトコロニ学校ガ。デモ、授業ハヤッテナイミタイダナ……」
平島さん:レルヒさん、待ってたよ! 僕は尾畑酒造の平島です。
「エ、今日ノ取材ハ酒蔵ッテ聞イテタケド」
平島さん:ここは「学校蔵」という酒蔵なんだよ。
「エー、コノ学校ガ?」

疑うレルヒさんに優しく教えてくれる平島さん
2014年、廃校を仕込み蔵として再生した「学校蔵」。「酒造り」「学び」「共生」「交流」の4つの柱で運営している。


「ドウシテ学校デ、日本酒ヲツクルコトニナッタノ?」
平島さん:ここは旧西三川小学校といって、136年間も続いた歴史のある学校なんだよ。でも2010年に少子化による統廃合で、廃校になってしまったんだ。「日本で一番夕日がきれいな小学校」とも謳われていたこの学び舎(や)が、このまま朽ちていくのはとても残念なこと。それならば僕たちはお酒造りを通してここを再生しよう、と決めたんだ。

「ホントニ学校ノヨウダナ」と歩き回るレルヒさん


「ドンナオ酒ヲツクッテイルノ?」
平島さん:〝すべて佐渡産の日本酒〟だよ。レルヒさんは特別天然記念物のトキという鳥を知っているかな?

「アノ、クチバシガ長クテ、顔ガ赤イ鳥ダネ」
平島さん:佐渡島ではトキが住む環境を保全するため、農薬や化学肥料を減らした農法を進めているんだ。それにあわせ学校蔵の日本酒にも、佐渡市が認証している「朱鷺(トキ)と暮らす郷づくり認証米」を積極的に使用しているんだよ。その中には島内の加茂湖の特産物である牡蠣の殻を利用した、減農薬・減化学肥料の酒米などもある。そうした手間のかかるお米と、島の豊かできれいな水を用い、純米酒を醸しているんだ。

「トキの森公園」に行けば確実にトキに会えるよ!
実は見学しに行っていたレルヒさん


「スベテ佐渡産、電力モナンダヨネ?」
平島さん:そう。学校蔵の酒造りではぜひ、再生可能エネルギーを取り入れたいと考えていたんだよ。そこで東京大学国際高等研究所サステナビリティ学連携研究機構(現東京大学未来ビジョン研究センター)と連携し、学校蔵でソーラーパネルの実装実験を行うことになった。1年目は旧水泳プール内に10kWのCIS薄膜型太陽電池(※)を設置し、1年間の発電量と5月から9月に行われる酒づくりの時期を中心とした使用量の電力収支を見て、検討を重ねた。その後、グラウンド跡地も活用してパネルを30kWまで増設し、年間の電力をほぼ100%再生可能エネルギーでまかなえるようになったんだ。

※太陽電池の種類の一つ。銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を主原料とする化合物半導体系太陽電池で、太陽光に当たるにつれ出力がアップするという特徴がある。

プール内に設置されたソーラーパネルを眺めるレルヒさん


「アレ? 日本酒ハ普通、寒イ冬ニツクルンダヨネ?」
平島さん:よく知っているね、レルヒさん。冬の酒造りは「寒造り」といい、寒い時季は雑菌が繁殖しにくいし、低温の環境がお酒の発酵をゆっくりにするから良いお酒を造るのに適しているんだ。でも実は江戸時代のはじめまでは、一年を通してお酒を造ることは一般的だったんだよ。学校蔵ではその「四季醸造」に合わせた設備を取り入れ、タンクのある仕込み部屋の断熱工事をして部屋ごと冷やしたり、酒づくりの肝となる麹(こうじ)をつくる室(むろ)も外気温に左右されない構造にして、室温を調整しているんだ。

「コレガサッキ言ッテタたんくダネ」と見学させてもらったレルヒさん

「ソレッテ、スッゴク電力ガ必要ジャナイノ!?」
平島さん:そうだね、確かに四季醸造には電力は必要だけど、だからこその太陽光発電なんだ。日射量の多い佐渡の夏は発電量も多くなり、酒造りで使う電気が余るほど。

「ナルホド~! 太陽ノ恵ガ、良イオ酒造リヲ支エテイルンダネ」
平島さん:ただし、電気を使った原料処理ではうまく品質が保てないものもある。今はまだ蒸し米はガス炊きのボイラーを使用しているけれど、いずれはバイオマスボイラーなどにしたいと考えているんだ。近い将来にはいろんな方法をかけ合わせながら、すべて佐渡産のゼロカーボン日本酒を造りたいね。

平島さんのお話に感動しているレルヒさん


「ソレハ飲ンデミタイ!!」
平島さん:僕らは、原材料を取り巻く環境や酒造りに使うエネルギーも、お酒の美味しさのうちだと思っている。400年の歴史を持つ島内の棚田も、その一つ。棚田米を使用したお酒を飲んでもらうことで、棚田の持続を支援できるんだ。そんなふうに、自然のクリーンルームともいえる離島「佐渡島」を大切にするため、島の魅力を、お酒造りを通してどんどん〝見える化〟していきたい。学校蔵では酒造りに興味のある人たちを広く募集し、蔵に寝泊まりして酒造りを体験してもらう。酒文化も次代につなげながら、脱炭素社会について皆と語り合える場になれたら嬉しいね。

「学校蔵」デ造ッタ日本酒「学校蔵」ダヨ~
すっかり打ち解けた平島さんとレルヒさん
「モット学校蔵ニイタカッタ…」と名残惜しそうなレルヒさん


まだまだレルヒさんの取材日記は続く…